FSS登録の準備で最初に必要になるのは、何を集めるのかという一覧です。項目そのものは決まっていますが、どの項目が自分の構造で「該当なし」になるのか、どの項目に他社の署名が要るのかは、ストラクチャーによって変わります。ここでは26項目の内訳と、そのうち公証が必要になる書類の範囲を整理します。
外国ファンドを韓国で販売するのに、何を出すのか
書類は七つのグループに分かれます。項目数の内訳は次のとおりです。
- 代理権限(1件) — 委任状(POA)
- ファンドの基本書類(3件) — LPAまたは定款、私募目論見書(PPM)、ファンドの設立・登録証明書
- 関係当事者との契約(5件) — 投資助言契約、サービス提供会社とのサービス契約、アドミニストレーション契約、カストディアン・保管契約(あれば)、プレースメント・販売代理契約(あれば)
- ファンド財務資料(5件) — 財務諸表、資産構成の状況、出資約束額と実際の出資額、出資払込の証拠、監査報告書またはファンドの自己資本の証拠
- 無処罰の内部確認書(3件) — サービス提供会社、投資助言会社、GP
- 無業務停止の確認書(6件) — サービス提供会社、投資助言会社、GP、カストディアン(あれば)、アドミニストレーター、販売代理人
- 資産運用ライセンスの証明(3件) — 投資助言会社、サービス提供会社、GP
合計で26項目です。外国ファンド 韓国 販売のための登録では、この一覧が作業の土台になります。案件ごとに増減するのは「あれば」と付いた項目と、次に述べる財務資料のグループです。
新設ファンドでも財務資料は必要なのか
まだ投資を行っていない新設ファンドの場合、グループ4のファンド財務資料は全体が該当なしになります。財務諸表も、資産構成も、出資払込の証拠も、存在しないものを作ることはできません。
ただし「該当なし」と書いて終わりではありません。担当官は公開情報と申請内容の整合性を確認することがあるため、SEC Form Dのような公開記録とGPからの説明が食い違っていないかは、提出前にこちらで突き合わせておきます。設立証明や登録証明の日付と、PPMに記載された設定時期がずれているケースもあります。
確認書には誰が何を書くのか
グループ5とグループ6の確認書は、各関係当事者の代表者が署名する内部確認書です。内容は、過去3年間に金融業に関連する刑事処罰(罰金刑以上)を受けていないこと、および業務停止中でないことの確認です。
この書類でつまずく原因はほぼ一つで、署名者の特定です。署名する人の肩書と連絡先を署名前に確定しておかないと、署名を取り直すことになります。関係当事者が複数の法域にまたがっている場合、各社の代表者の呼称や署名権限の所在が異なるため、テンプレートを配る前に確認しておく価値があります。
無処罰の確認書は3社分、無業務停止の確認書は6社分と対象が異なる点にも注意してください。カストディアンやアドミニストレーターは、無業務停止の確認書のみが対象になります。
ライセンス証明がない当事者はどうするのか
グループ7は、投資助言会社、サービス提供会社、GPの資産運用ライセンスの証明です。ライセンス証書が発行される法域であれば、その写しを出すだけで済みます。
問題になるのは、監督の形式がライセンスではない場合です。届出制度の下で業務を行っている関係会社については、届出書とその翻訳を提出し、担当官と処理の方向を確認します。日本の適格機関投資家等特例業務の届出も、この方法で扱います。ライセンス証書という形の書面が発行されない法域では、当局の登録記録と会社登記の記録を組み合わせて疎明することになります。
いずれの場合も、書類がないことを黙って進めるのではなく、何がある制度なのかを説明する資料として出すという整理です。
契約書のグループでよく指摘される点
グループ3の関係当事者との契約は、そのまま提出できると思われがちですが、審査段階で補完を求められやすい部分でもあります。実務で繰り返し出てくるのは次の三つです。
- 契約書の署名欄が空のまま、あるいは一方当事者の署名しかない状態で保管されている。
- 契約締結後に商号が変わっており、契約書の当事者名と現在の登記上の商号が一致していない。この場合は商号変更の証明が別途必要になります。
- 報酬について「別途書面で合意する」とだけ記載されており、実際の合意書が契約書に添付されていない。
いずれも提出前の点検で防げるものです。契約書を集める段階で署名欄と商号の一致を確認し、報酬の実額が別紙にある場合はその別紙も一緒に確保しておいてください。
公証が必要なのはどの書類か
26項目のすべてに公証が要るわけではありません。公証・アポスティーユの対象になるのは、次の12種です。
- 委任状(POA)
- 事前チェックリスト
- 登録申請書
- PPM
- LPA
- 確認書4種(GP、投資助言会社、サービス提供会社、アドミニストレーター)
- 契約書3種(投資助言契約、サービス契約、アドミニストレーション契約)
残りの項目は写しの提出で足ります。チェックリストを作るときは、写しの列と公証・アポスティーユ済み原本の列を分けておくと、どの書類がGPの署名スケジュールに乗るのかが一目で分かります。
公証 PPMの扱いについて質問をいただくことがありますが、PPMのように署名のない文書も公証の対象にできます。GPの署名権者が「添付書類は真正かつ最新の写しである」という短い陳述書に署名し、公証人がその署名の事実を認証する形をとります。公証人が内容を認証するわけではありません。
12種を一度に公証したほうがよいのはなぜか
公証対象の12種は、GPの署名権者1名がまとめて公証人の前で処理できます。関係当事者ごとに各地で個別に公証を取る場合と比べ、この一括公証のほうが通常2〜3週間早く終わります。
各社に公証を分散させると、法域ごとの公証人の運用の違いや、署名権者の出張日程が全体の律速になります。GP側に集約できる書類はGPに集約するというのが、スケジュール上は有利です。そのための陳述書の文言は、公証に行く前に確定させておきます。
次にすること
自社の構造で26項目のどれが該当なしになり、どれが他社の署名を待つ書類なのかは、関係当事者の構成次第で変わります。FSSの審査順に並べ、写しの列と公証済み原本の列を分けた書類チェックリストをご請求いただけます。20分の初回相談では、チェックリストを自社の構造に当てはめて、最初に動かすべき書類をご説明します。